2016年のまとめです。 

時間がないので前後編に分けます。

でも、後編はないかもしれません。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「う~、さっむいなあ今日も……」

寒さが本格化してきた師走の空の下、一人の男が出勤していた。

頭部が男性器の彼の名前はペニスーツマン。防寒具の類は一切身に着けておらず、スーツ一丁であった。

「おはよう、ペニスーツマンくん」

「あ、課長。おはようございます」

「君寒いって言ってるけど、コートはおろかマフラーも手袋も付けてないじゃないか。大丈夫なの?」

「大丈夫じゃないけど僕はペニスーツマンなんで……べぇくしょい!!」

ズビュゥーーーーーーーーーーッ!!

ペニスーツマンのくしゃみと共に勢いよく亀頭から精液が噴出した。運悪く射線上にいた鳩に直撃し、「ポッ……ポポ……」という弱弱しい鳴き声と共に気絶した。

「あへぇすいません、ちょっと風邪気味で……」

「マスクくらい付けなさいよ。いや君の場合コンドームか?」

「早く僕用の巨大コンドーム作られないかなあ」

「あ、そういえば君今日から異動だから」

「は?」

 

会社に着くと、ペニスーツマンには早々に辞令が言い渡された。

「システム管理部門すか~? なんで急に……」

「そろそろジョブローテーションの時期だなあと思って。諸々の準備は終わってるから、ハイ、ヨロシクぅ!」

強引に話を進められ、ペニスーツマンはしぶしぶシステム管理部門のフロアに移動した。

「あなたがペニスーツマンさんですね。私はシステム管理部門の山田と申します。よろしくお願いします」

くしゃくしゃの髪の毛にだるだるのスーツを着た男、山田がペニスーツマンを丁寧に挨拶した。

「あ~よろしくオナシャス。僕全然ITの知識とかないんですけど、大丈夫ですかね?」

「正直どうとでもなりますよ。開発とかするわけじゃないですし」

「え、パソコンカタカタプログラミングパチパチしないんですか?」

「そういうのは外注してますから。今日ちょうど開発を委託してる会社に出向くのですが、ペニスーツマンさんもいかがですか?」

「はえ~、じゃあ行きます」

一日オフィスに缶詰めよりも外の空気を吸えるほうがいいよな、というサボリ根性を発揮したペニスーツマンは安易に承諾したのだった。

 

「ここが開発会社である株式会社不夜城ワクワクシステムズさんです」

山田に連れてこられたビルは異様な雰囲気を放っていた。

一見すると普通のビルだが、どことなく汚れていて、なんとなく臭くて、とにかくくたびれており、近づいただけで生気を吸われそうなかんじだった。場末の和式公衆便所を彷彿とさせるゴミみたいなビルだった。

「うおおおおおおおおおおおお!! 俺は助かっている! 現在進行形で助かっている!! この世の地獄からあああああわわわああわわわわあああ!!!!!」

突如、頭上から絶叫が降り注いだ。次の瞬間、ペニスーツマンの目の前に人体が降ってきて、ベシャァという轟音と共に地面にぶつかりくしゃくしゃに潰れた。

「ひ、ひゃえええええええええええ!!」

ドビュッシャァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!

驚きと共に勢いよくペニスーツマンは射精した。山田はとっさに傘を開き、ザーメンのシャワーを華麗に防いだ。

「なるほど、雨傘を常備したほうが良いというアドバイスはこういう意味でしたか」

「山田さん! 人が落ちてきたんですけど!」

「まあ、SE会社ですからね。人も死ぬでしょう」

「冷静ですね……。よくあることなんですか?」

「まあ。いちいち事件にもしませんよ。例えば、昼休みに飲食店に行ったら当然どこも混んでいますよね? 同じように、SE会社に行ったら人が死んでる。そういうことです」

「はえ~、そうですか……」

日本の暗部を目にしたペニスーツマンは意気消沈し、ペニスもおじいちゃんのちんちんの如くしなしなに萎えてしまった。

 

「わざわざ出向いてもらって申し訳ございません。私、スケベ商事様を担当させていただいている不夜城ワクワクシステムズの鷲ヶ原と申します」

不夜城ワクワクシステムズのビルに入ると、開発担当者が応対してくれた。前髪を七三に分け、細渕の眼鏡をかけたエラ張り顔のSEは「鷲ヶ原鷲二(わしがはら しゅうじ)」と書かれた名刺を差し出した。

「本当は御社にお伺いしなければいけないところなのですが、私共の都合でお手数をおかけします」

「お忙しいのですか?」

「ええ……複数の案件を掛け持ちしておりまして……」

「あれぇ? 鷲ヶ原さんて、あの箱根駅伝走ってた鷲ヶ原さんですかあ?」

会話をぶった切ってペニスーツマンが素っ頓狂な声を上げた。鷲ヶ原はバツの悪そうな顔で頷いた。

「山上りの5区で4年連続を区間賞を取って、『山の鳥神(ちょうじん)』と言われてた鷲ヶ原さんですよね! 最近話聞かないな~と思ってたんですが、競技引退したんですか?」

「ええ。不夜城グループの実業団に入ってから故障が多くなり、結果が出せなくて……。今はグループ会社の一つであるワクワクシステムズでSEとして働いています」

「そうだったんですか。でもSEって特殊な知識ないとできなそうなイメージですが大丈夫なんですか?」

「まあそうでもないですよ……何よりSEは人が足りないので」

苦笑する鷲ヶ原に連れられて、ペニスーツマンと山田はオフィスに案内された。

ブリブリブリブリブリブリヴィヴィヴィヴィヴィッッッ!!!!!!

突如異様な音が耳を劈いた。

音がした方向を見やると、ものすごい勢いで脱糞しながら、ものすごい勢いでキーボードを打っている社員がいた。目には光が宿っておらず、尻からはうんこが絶え間なく出続けている。

「鷲ヶ原さん、あれは」

「彼は多忙のあまりトイレに行く暇がないので、ああして脱糞しながら仕事をしているのです」

続いて、視界に入ったのは掃除のおばちゃん。

床に寝転がっている男性を持ち上げて台車に乗せていた。男性はぐったりしており、穴という穴から汁が出ている。

「鷲ヶ原さん、あれは」

「彼は過労で死んだみたいですね。そのままにしておくと邪魔だしくさいので、死後硬直が始まる前に掃除のおばさんに処理してもらっています」

オフィスを見渡すと、そのほかにも色々な人間が散見された。

頭に管を刺して茶色い液体が入った点滴を受けている者、PCに接続されたケーブルを頭や首筋に刺している拘束具に身を包んだ者、足に鎖鉄球を付けている者……。

「あの茶色い液体はチョコレートですね。糖分を経口摂取するのは手間なので直接脳に流し込んでいます。拘束具は自殺防止のためです。ついでに電脳化して、手足を使うことなく仕事できるようにしました。まあ電脳化はコストがかかるので、ほいほいできないですが……。なので最近はシンプルに鎖鉄球での拘束に留めています」

「へ、へえ~……でもさっき自殺してる人いましたけど」

「人間危機感を覚えると知恵が回りますからね。上手いことやったんでしょう。

 SEには過労で肉体が壊れ死ぬ者や、心を病んで死ぬ者が多いです。そのため、このようにあの手この手で人的リソースを保っています」

「ほ、ほえ~」

鷲ヶ原の淡々とした説明にペニスーツマンは萌えアニメキャラ並みの適当な相槌を打つことしかできなかった。一方、山田は見慣れているようで、打ち合わせの準備を黙々と進めていた。

 

「いや~システム開発の現場ってスゴいっすね……」

帰りの電車でペニスーツマンは嘆息した。ちんぽは萎えに萎えきっており、我慢汁も出そうにない。

「鷲ヶ原さんも瞳孔が開き切ってましたよ。学生時代はあんなに輝いていたのになあ」

「まあスポーツ選手なんて競技辞めればただの人ですからね。スター選手といっても大半は社畜になるんですよ」

「山田さんクールですね~」

「心とかないほうが幸せに生きられますからね~。

 とまあ、システム管理部門の仕事はシステムの方針を決めたり、それを開発者に伝えて調整したりとかをやっています。まあ適当にやってれば大丈夫だと思いますよ」

「そっかあ。ペペローションやオナホール売る会社でもこういうの大事ですもんね」

「そうですね。じゃあ明日からもよろしくお願いします。ペニスーツマンさん」

こうして、ペニスーツマンの異動一日目は終わった。

 

異動してから一週間後の朝、ペニスーツマンは電話の呼び出し音で叩き起こされた。

「はぁい、もしもし! 手足を拘束されたガッキーの眼前でゲン・ホシノの乳首をいじりまくって絶頂射精させる夢を絶賛見ていたペニスーツマンですけど!」

「君の意味不明な淫夢報告はどうでもいいよペニスーツマン君! それより大変だぞ! 社会が!」

「社会ぃ?」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

後編は無理かもしれません。